覚醒剤使用、逆転無罪!職務質問した警察官は誰?補償金額を予想してみた!

覚醒剤使用、逆転無罪!職務質問した警察官は誰?補償金額を予想してみた!

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覚醒剤使用の罪で捕まった男性の逆転無罪が決定!事件の詳細や警察官の処分など気になる事をまとめてみました!

事件の詳細は?

2年近く前、2017年11月のことです。未明の路上で警視庁築地署員は、職務質問した男性に対して所持品検査をしようとした際、 「何か隠している」と路上において男性に下着を脱ぐよう求め、更に男性の下半身にも触れました。 

男性はその後、警察へ連行された模様です。そして別の署員が、所持品検査の際の「路上において下着を脱がせ下半身に触れた」という事実を隠蔽し、更に「(男性が)怒鳴って所持品検査を拒絶した」という虚偽の説明をして、裁判所に採尿令状を請求しました。

尿鑑定での陽性反応が覚せい剤使用の証拠とされ、男性は起訴されました。

2018年9月、地裁は「身体検査の方法に不適切な点はあるが、露出まではさせていない。鑑定書の証拠能力は否定されない。」と判断し、男性に懲役2年6月の実刑判決を下しました。

2019年7月16日、東京高裁の朝山芳史裁判長は、男性や目撃者の証言から、次の判断を下しました。

捜査での所持品検査について「警察官が下着を脱がせて検査を行ったのは、プライバシーへの配慮を著しく欠き、違法だ」と批判。

裁判所に対する令状請求につき「違法な手続きを糊塗するため、違法に違法を重ねた。」「令状主義の精神を没却する重大な違法がある。」と批判。

尿の鑑定書は、違法な手続きで得られた(よって、裁判での証拠として成立しない)

尿鑑定結果は判決に必要な証拠とならず、証拠から排除したので、「犯罪を証明できる証拠は無い」ことになったと判断。これにより、逆転無罪判決が下されました。

尚、逆転無罪の判決に対して検察が上告したか、男性が釈放されたか、警察が男性に謝罪したかについては、明らかにされていません。

警察官の処分はどうなる?

弁護人の小池哲朗弁護士は

疑いがあればどんな方法で捜査をしてもいいというわけではない。

今回の判決が警察が適正な手続きを踏んで捜査するきっかけになってほしい。」

と話しました。

本件では、「証拠」の違法性が問われましたが、取調べをした警察官個人の責任は問えないのでしょうか。また、似た事例で責任が問われたことはあるのでしょうか。

類似の例を探してみますと、2018年11月30日付けの警視庁による発表がありました。

窃盗事件の捜査において、裁判所から認められていないにも拘わらずにGPSを使用して捜査をした警察官が、その事件の公判で「GPSを使わずに目視で尾行した」とウソの証言をしたことが発覚しました。更に、その警察官の上司は「GPSを使っていないで通せ」とウソの証言を指示していました。

この4人の警察官らの処分は、偽証容疑による書類送検と、停職1-6カ月の懲戒処分でした

  最近の傾向として、一般の公務員ですら逮捕されて当然の事件でも逮捕しなかったり、不祥事を起こした警察官の氏名、所属先、事件の詳細を公表しないことが多いそうです。

 警察組織には、定年退職者等に再就職を斡旋する部署がありますが、不祥事を起こした警察官が処分されて依願退職をした場合も、再就職を斡旋してもらえると報告されています(再就職先は交通安全協会、共済等外郭団体や警察と取引のある一般企業、警備業者など。)

覚醒剤使用の罪に問われた男性は?今後は?

一般的なケースと同様であれば、男性は既に1年8か月の間、拘置所に拘置されていたと考えられます。

有罪が確定する前であっても、一般的な企業に勤務していた場合、逮捕・起訴された時点で解雇などの処分を受けるか、もしくは「判決が出るまで拘束されて会社に来れないなら、辞職してくれ。有罪で懲戒解雇になって退職金は出ないが、今のうちに依願退職なら多少なりとも退職金は出す。」と勤務先から言われるなどして、失職していたと可能性が高いと考えられます。

仮に復職できたとしても、社内の人間関係も気まずさに本人も耐えられなくなり自主退社してしまうケースもあるでしょう。若ければ再就職の可能性もありますが、40代以上であればその可能性も低いでしょう。

また、いわゆる“冤罪”の場合は「国家賠償法」でなく「刑事補償法」に定められた1日1,000~12,500円の補償金となることが殆どです。

しかも、補償を受ける為の手続きが非常に面倒で、殆どの場合は弁護士を選任しなければならず、裁判費用の返済で補償金を消費してしまうケースもあるようです(無罪判決を勝ち取るまでの弁護士費用は請求できるが、国選弁護人という非常に安い弁護士の報酬額相当しか請求できない為、請求金額では弁護士費用をまかなえない)。

 但し、本件は、「罪を犯していない」と認められたのでなく、また「証拠不充分」とされた訳でもなく、覚せい剤を使用したという事実が覆った訳ではありません。

勿論、男性の個人情報は伏せられていますが、次に例示する「他の冤罪事件での補償金」と同じレベルの金銭的補償を受けられるかは微妙なところだと考えられます。

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“冤罪”と認定された他の事件では? 

補償金の額が公表されている冤罪事件を例示し、今回の事件による補償金額を考えてみます。

  • 1948年・免田事件……強盗殺人(拷問、及び検察による証拠捏造)で1951年に死刑判決を受けた男性が、1983年に死刑囚としては初の再審無罪判決。補償金9071万2800円
    • 1950年・財田川事件……強盗殺人(警察による捏造で濡れ衣を着せ、拷問で自白)1957年に最高裁で死刑が確定。1984年に再審無罪判決。同約9000万円
    • 1954年島田事件……誘拐殺人(拷問及び検察官が証拠隠蔽)で1960年に最高裁で死刑が確定、1989年に再審無罪判決。 同1億1907万9200円
    • 1955年松山事件……殺人(自白自供を手に入れるため、警察が留置所にスパイを送り込んだ)1960年死刑が確定。1984年に再審無罪判決。同7,516万8,000円

これら4件の「1年あたりの補償金」を試算してみると、約193万円~271円となります。加重平均すると、1年に約247万円です。

(仮に1年8カ月に換算すると、約411万円となります。)

まとめ

本件の背景には様々な要素があるでしょう。

近年増えてきた薬物の問題。

昔ほどではないにしても未だに残る、警察などによる違法な捜査。諸外国から批判を浴びた「人質司法」(自白するまでは容易に保釈しない)という特殊な捜査方法とも、無関係ではないでしょう。

 そして警察官への処分や刑罰の甘さ。

 加えて、警察官の判断だけで身柄を拘束されかねない「改正組織的犯罪処罰法」(共謀罪)の成立。

勿論、薬物の使用・保持のみならず、反社会的行為はもってのほかです。

加えて、万が一警察に勾留されてしまったら、たとえ無罪であってもこんな恐ろしいことになる、という知識が一般に広まるのも、犯罪抑止になるのでしょうか。

かといって、このブログは「もしもの時の弁護士110番」から広告費を頂いている訳ではありません(笑)

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